ボクは君がその温情をボクに傾けてくれるというのなら、この身を、知識を、魂を、捧げることを何ら躊躇いはしない。だからお願いだ。ボクを信じてほしい。こうしてこれまで本心を伝えようとしなかったのは、決して君を騙そうとしたりだとか、隠し立てをしようとしていたわけじゃない。時期を見計らっていただけだ。今、この瞬間に本心の欠片を訴えかけていたとしたら、きっと君はボクから離れてしまったことだろう。ボクにとってそれは耐え難い損失なんだ。もちろん、それは君にとっても、求める未来を遠ざけるという意味で正しく損失というべきだろう。いずれ、君は『死に戻り』という特性上、きっと求める未来へ辿り着くことだろう。けれど、その辿り着ける未来に対し、君が支払う代償は少ない方がいいに決まっている。ボクは、ボクならばそれを軽減することが可能だ。最終的に求める結果に辿り着ければいい、などと大目的を理由に小目的を蔑ろにするような、人でなしな考えをするとは誤解しないでほしいんだ。確かに誘惑に駆られて、こうした場合の結果を見たいがために、最善の道行きに必要な要素に気付いていながら言葉にしない――というような行いを絶対にしないと断言できるほど、ボクはボクの欲望を抑制できていない。そのことは認めよう。けれど、誤魔化しはしない。もし仮にそんな信頼に背くような行いに手を染めるようなことがあれば、それを隠すようなことだけは絶対にしない。必ず打ち明ける。そして、失った信頼に応えられるよう、何度でも君のために力を尽くそう。どんなことがあっても、必ずボクは君を君が望む最善の未来へ送り出す。絶対に、絶対にだ。だからそのために必要な手段であると割り切って、ボクを選んではくれないだろうか。ボクが君に望み、君に求める要求は契約の際に述べたこと通りだ。あとは君が、君自身が、欲しいと欲する願いに対してどこまで身を切れるか、という話になってくる。ボクの覚悟は今述べた通りだ。あとは、君の覚悟を聞きたい。君の方こそ、ボクとの契約を交わし、ボクの協力を得て、その上で必ず未来へ辿り着くのだと、その気概があるのだとボクに証明してみせてほしい。それができてこそ初めて、君は第二の『試練』に打ち勝ったと胸を張って言えるんだ。第三の『試練』に進み、そしてそれを乗り越えて『聖域』の解放を果たす。今後、『聖域』と君の思い人、そして大切な人々に降りかかる災厄を思えば、これは越えなくてはならない正しく『試練』なんだ。それを乗り越える力が、覚悟が君にあるのだと、ボクに教えてほしい。そしてその上で、ボクを奪って、ボクの知識を利用して、その先にあるものを得ていこう。ボクが君に望み、君に求め、そして代わりに君に差し出せるものは以上だ。ボクは真摯に、正直に、全てを打ち明けたつもりだ。その上で、君がどういった判断をするのか――それを、ボクに教えてほしい。ボクという存在の、好奇心の一端を満たすためにも、ね」
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